画像中央、左下第二大臼歯部分にインプラント治療がなされています。
旗のように上部構造の遠心部分が延びており、清掃が事実上できない状態です。
また力学的なバランスを考えてもアンバランスさを感じずには居れない位置です。(カンチレバー)
ストローマン ティッシュレベルインプラント Φ4.8mm レギュラーネック 10mmと考えられます。
このタイプのインプラントでどうしても治療するのであれば、
もう少し遠心部分に埋入し、埋入深度はもっと深くして、移行的なエマージェンスプロファイルにする必要があります。
治療後まだ数年とのことですので、もったいないですが、総合的な治療の上では問題がありますので撤去をご決断です。
治癒後にボーンレベルインプラントで再治療します。
実際のおくちです。スクリューホールが露出しており、内部は食査で満たされ不潔になっています。
まずはアバットメントスクリューを緩め、上部構造を外しました。
白い付着物はプラーク(細菌塊)であり金属表面にびっしりついています。
当然口臭の原因にもなり、さながら細菌の生産拠点といった状態です。
上部構造を除去したインプラントの状態です。
再治療時の埋入においては、より遠心に、より舌側に埋入します。
ティッシュレベルインプラントを再埋入することはありませんが、およそ5mmは埋入ポジションを深くする必要があります。
どんなインプラントでも同じですが、骨がある部分という理由だけで位置や深度を決めると失敗につながります。
フラットニングや骨増生が重要です。
いつものようにインプラント フィクスチャー リムーバーでの除去を試みますが、、、
あまりの骨結合の強さと、フィクスチャーとの強固な引っかかりが形成されず
内部のネジ穴が潰れてしまい、フィクスチャリムーバーでの撤去を断念しました。
ここからは粘膜を剥離して、地道に除去へ進みます。
かなりの強敵でしたが無事に撤去できました。
再埋入時に影響の無い頬側骨を切削して動かしました。
どうしてもチタンの切削片が出ますので慎重に洗浄・掻爬して取り除きます。
インプラントの撤去窩にまずは骨移植材を填入します。
CYTOPLAST サイトプラスト(シトプラスト)d-PTFEメンブレン(膜)でカバーしてGBR(骨増生)します。
縫合しました。約1週間後に抜糸し、約6週間後にメンブレンを除去します。
撤去したインプラントです。
スタンダードインプラント レギュラーネック Φ4.8 10mm と考えられます。
「たくさん汚れがついているんですね」とK・Uさん。
フィクスチャーリムーバーでの撤去が出来ませんでしたのでK・Uさんにも大変頑張って頂きました。
このケースでインプラント撤去のノウハウをまたひとつ得ることが出来ました。
今後の金属除去、再根管治療も頑張って進めましょう!
もしよろしければ
インプラント撤去を行う広島市の歯科 三好デンタルオフィス