フラップレスオペ、フラップレス埋入とは粘膜剥離を行わずにインプラントを埋入する手術です。
メリットとしては外科的侵襲が少ないので、出血が少なく治癒が早い点が挙げられます。
デメリットとしては実際の骨を見ずに行いますので骨の形態が平坦でない場合は適応が困難です。
また、骨・粘膜に対する外科処置を行わないため、形成外科的な処置が必要な場合には不向きです。
弊オフィスでは条件がそろった場合にはフラップレス埋入を行っています。
1、CT撮影データにより、インプラント埋入予定ポイントの骨の形態が平坦で、上下のクリアランスが充分あり、骨の形態修正が不要である場合
2、粘膜の形態が良好で歯肉の形態修正、移植などの形成外科処置が不要である場合
3、下顎においては垂直的な骨の量が充分にあり、下歯槽神経管までの距離が充分にある場合
それに加えて下記の条件も重要と考えています。
4、患者さんが高齢で出来るだけ外科的侵襲を減らしたい場合
さて、本日は左下第二大臼歯部分にフラップレス埋入オペを行います。
患者さんは80歳を超えておられ、外科処置を減らしたいケースです。
私が独立開業する前に治療をさせていただいていた患者さんです。
開業して約4年が経ちますが、私を捜し求めてくださり、このたび来院なさいました。
オフィス内の歯科用CTで撮影した画像です。
幸運なことに左下第二大臼歯部分の骨は平坦であり、フラップレス埋入に適しています。
フェイスボウ(顔弓)を用いて上顎歯列と顎関節の位置関係を記録しています。
フェイスボウで記録したデータで咬合器にマウントします。
咬合器はどんなものでも良いと思いますが、道具は職人の気概を雄弁に語ります。
少なくともフェイスボウが反映できるモデルであることが必要と思います。
模型とCTデータを重ね合わせ、目標地点と角度を決定します。
サージカルステントを作成し、ドリルガイドとします。
当然ですが、すべての作業を私がしています。
いよいよ、本日オペに臨みます。
表面麻酔後に下顎孔伝達麻酔を行いスタートします。
サージカルステントの適合を確認します。
80歳を超えておられるご年齢を考えますとメタルタトゥーの除去や、手前の金属冠の治療は現状に即して判断します。
サージカルステントを用いて、ファーストドリルによるドリリングを終えました。
深度ゲージを挿入してレントゲンを撮影し、確認します。
この後、ドリルステップを進め、埋入窩を形成を完了します。
スイスのストローマン社のSLActive インプラントです。
現在のところ地球上で最も骨結合スピードの早いインプラントであると言い切ることが出来ます。
インプラントの埋入を終えました。
粘膜の厚みを測り、それを参考に骨の位置を確定します。
埋入することで止血も完了します。
挿入ジグを外しました。
充分な埋入トルクが出て、しっかりとした初期固定が得られています。
インプラント上部にはヒーリングキャップを締結し、インプラントのスクリューホールの保護と粘膜の形態形成を同時に行います。
ヒーリングキャップを締結しました。
CTで骨の状態が判る今日、フラップレス埋入は条件が合えばとても優れた埋入方法であるといえます。
埋入オペ終了時のレントゲン写真です。
独立後もありがたいことに過去にお付き合いのある患者さんからお電話をいただくことが一定数あります。
弊オフィスは保険診療を行っておりませんので、保険診療をご希望の場合はお断りせざるを得ません。
せっかく捜していただきお電話いただくわけですから断腸の思いですが自分で決めた歯科医師人生です。
同じく、飛び込みの患者さんはほぼすべてお断りせざるを得ません。
保険診療を行わない歯科医師は「金儲け主義」のごとく社会には捉えられることが多いですが
本当に「金儲け主義」でそれが実現できるのであるとすれば、市場原理として保険診療を行わない歯科医師が大多数を占めるはずです。
現実がそうでないのは、そうでないことの証明ともいえます。
特に広島では保険外治療だけで経営していくことは極めて困難だと考えられていますが私が実例を作ることで
新しい世代の歯科医師の中に同じフィロソフィーの歯科医師が増えることを期待しています。
父として男として自分の技術には自分で値付けし、自分で道を切り拓いていきたいのです。
・・・・気付いたら熱くなっていました。
もしよろしければ
フラップレス インプラント治療も行う広島市の歯科 三好デンタルオフィス