右上第一大臼歯・第二小臼歯が欠損しています。
この部分に2本のインプラント治療を計画します。
オフィス内の歯科用CTで断層撮影し、インプラントの埋入位置をシミュレーションします。
第一大臼歯部分の骨は陥没している部分がありますので、インプラント埋入オペ時に骨を増やす骨増生処置を行います。
上下歯列の型取り(印象採得)とフェイスボウトランスファー(顔弓計測)を行い、
上顎歯列と顎関節頭の位置関係を記録します。
フェイスボウトランスファーした記録を利用して、KaVoプロターevo7咬合器に上下歯列模型をマウントします。
CTデータと重ね合わせて、模型上でインプラント埋入位置を決定します。
サージカルステント(ドリルガイド)作成してオペの事前準備は完了です。
いよいよインプラント埋入オペを行います。
サージカルステントの適合を確認します。
塗るタイプの表面麻酔後にカートリッジ式注射器で局所麻酔後を行い外科処置を開始します。
サージカルステントの穴からドリリングして深度ゲージを挿入しました。
デンタルレントゲン写真を撮影して角度を確認します。
歯肉粘膜に切開線を入れて粘膜剥離の準備をします。
頬側の角化歯肉が薄くならないように、埋入ポイントよりも口蓋側に切開線を設定します。
歯肉粘膜を剥離しました。
CTデータ通り、第一大臼歯部分(画像右側)の骨が軟組織に置き換わっている部分が存在しています。(〇部分)
まずは第二小臼歯部分のインプラント床(しょう)(=インプラントを植えるための穴)を形成します。
この際、第一大臼歯部分に深度ゲージを挿入して角度の参考にします。
スイスのストローマン社のインプラントを用います。
BLT Roxolid® SLActive® φ4.1RC 10㎜
第二小臼歯部分への埋入を終えました。
続いて第一大臼歯部分のインプラント床を形成します。
骨欠損部分の軟組織は全て取り除きます。
BLT Roxolid® SLActive® φ4.1RC 8㎜
インプラントの埋入を終えました。
インプラント挿入ジグを取り除きました。
インプラントフィクスチャー(インプラント本体)の接続部分が見えています。
インプラントフィクスチャーの接続部分の保護と粘膜の形態形成のために円錐形のヒーリングキャップを締結します。
骨欠損部分の骨増生のために骨移植材であるリフィットRFTデンタルを用います。
骨吸収防止のため骨移植材であるハイドロキシアパタイト(HA)も用意します。
2種類の骨移植材をインプラント周囲に多めに填入して吸収性の縫合糸で縫合しました。
オペ終了時のデンタルレントゲン写真です。(2022.10.22)
インプラント埋入オペから二カ月半が経過しました。(2023.01.06)
ヒーリングキャップを外しました。
歯肉粘膜は無事に治癒していますのでジルコニアカスタムアバットメント作成に進みます。
ジルコニアカスタムアバットメントとは
生体親和性に優れたジルコニアを用いた
患者さんの歯ぐきの形状に合わせてカスタムメイドした
かぶせものを支えるための中継ぎパーツ=アバットメント を指します。
チタンベースを用いてジルコニアカスタムアバットメントを製作します。
ジルコニアカスタムアバットメントとプラスチック製の仮歯の作成を終えました。
ジルコニアカスタムアバットメントを15Ncmの締結トルクで締結しました。
スクリューホールはテフロンテープで保護し、増し締め時に取れるようにゴム状の青いプラスチックで封鎖します。
仮歯をセットしました。(2023.01.17)
連続した2歯以上のインプラント治療の場合、連結したかぶせもの(連結冠)で完成することが多いです。
インプラントは骨の生まれ変わり(代謝)時に多少移動するため、
連結していない単冠インプラントで仕上げると、2本の間がきつくなったりゆるくなったりします。
ただしフロスを上から通したい患者さんのご希望もありますので、そこは柔軟に対応しています。
仮歯をセットして、最低でも1か月程度咬んでいただき、
インプラント周囲骨が成熟した段階で35Ncm の締結トルクで増し締めしてセラミックのかぶせものを製作・セットします。
ここまでの全ての内容を一切の外注なく私が行っています。
O・Cさん、無事にここまで進んで私も嬉しいです。
この部分の完成までもう少しですね。
広島市南区の自由診療専門歯科 三好デンタルオフィス
※追記 このあとの完成時の記事はこちらです。
「右上奥歯2本のインプラント治療が完成しました。2023.01.31」